皆様、お久しぶりです。 嗚呼。。。気づけば12月31日。
自分史上最大の4ヶ月ブログ不更新。 そこまで多くないと思いますが、楽しみにしてくれている人ごめんなさい。
まぁ、連載だ、Web記事など書いている都合もありますが
本当に仕事に忙殺されていた2018年でした。
そして、いろいろな機材が発表・発売された2018年でしたね。 (α7SⅢは出ませんでしたが。。。)
せめてこの年の瀬に昨年同様
「2018年 鈴木佑介の買ってよかったモノ ベスト5」
などを考えながらこの1年を振り返ろうかと思います。
※ちなみに長い、です。
第一位:Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K (ポケシネ4K)
まぁ、今年はこれしか無いです。本当。
もうご存知だとは思いますが
DCI 4K 60pまでの12bit RAW動画が撮れる
M4/3マウントのシネマカメラです。
しかもDaVinci Resolve Studioが同梱で約15万円。
値段とスペックだけで飛びつく人が多かった(多い)と思いますが
ある一定以上の知識と経験が無いと、まったく歯が立たない、という至高のデレツンカメラです。
「動画をやりたい!」って思う人にはまったく向きませんが、
「映像表現をきちんとやりたい!」っていう人には最高のカメラだと思います。
なんども言いますがBMPCC4Kは
「4k 60pが撮れる 15万のお買い得カメラ」でなく
「たった15万円で4k 60p 12bit RAW フッテージが手に入る」カメラ
ということです。
そこの意味がわからない人や実際手にして
「バッテリーが持たない」とか「コンティニュアスAFが無い」とか 「CFastが高い」とか「収録容量がでかい」とか
「DaVinciじゃなくてPremireで編集したいな」とかそういう人には
まったく向かない、というか、もはや触って欲しくも無いのが正直なところです。
(ちょっとクセがあるんだけど自分が大好きな優秀な彼女を
親や友人に間違って認識されたくない感じに近いです)
そしてBMPCC4Kをきちんと仕事に使うには撮影・編集環境含め 最低でも100万円くらいは軽くかかるので、
きちんとやる覚悟を持って手にして頂ければいいな、と。
誰もが簡単に付き合えるカメラでは無いと思いますので、悪い意味でなく、
利便性などを求める人は素直にGH5とか買ってもらった方が良いです。
9月末の発売時に運良く初期ロットを手にすることが出来た私は
すっかりハマって、四六時中BMPCC4Kを触っています(笑) ニーズにハマる人はハマります。ハイ。
BMPCC 4Kについての詳しいことは、
PRONEWSの記事やビデオサロン11月号などにも執筆させていただきましたが、
ノーライティングでもこれだけのフッテージが撮れて、Lutなど使わずとも グレーディングで好きなルックが作れる、という事が何よりも素晴らしいです。 ↓ BMPCC4K フッテージ01 <No Graging>
BMPCC4K フッテージ01 <After Grading>
BMPCC 4K フッテージ02 <Node Tree>
BMPCC4K フッテージ02 <No Graging>
BMPCC4K フッテージ02 <After Graging>
BMPCC 4K フッテージ02 <Node Tree>
BMPCC4K フッテージ03 <No Graging>
BMPCC4K フッテージ02 <After Graging>
BMPCC 4K フッテージ02 <Node Tree>
上記を含めたBMPCC4Kの撮影フッテージは
ビデオサロンWebの方からDLできますので
ダウンロードして、グレーディングを楽しんでみてください。 (Cinema DNG 3:1なので DaVinci Resolveでしか扱えないので注意)
ちなみにこの撮影素材はFoglampというバンドのMVの素材でした。 ティザーとして制作した映像があります。
1分くらいなので是非ご覧ください★
●MV:Don’t Get Me Wrong Teaser
starring:遥野(https://www.instagram.com/teddy_haru/)
このMVの本編は現在編集中です。 この映像は「四季をグレーディングで表現する」事をテーマにしています。 動画からの切り出し素材をチラ見せしますが、いかがですか? 平均気温3℃の中、1.5日で撮影したようには見えないですよね?(苦笑)
かなり良い感じに仕上がりそうです★
近日公開する予定ですのでお楽しみに。 とにかく 「こういうルックにしたい」「こういうトーンの画を作りたい」という 明確なイメージを持っている人や 8bit logや10bit logでのグレーディングに納得が行かない方は ぜひBMPCC4KでRAW動画を撮影し、
「良いフッテージ」でグレーディングを勉強することをお勧めします。
10bit logが「ボトムライン」という事を実感できるでしょう。
少なからず学生さんや若い人たちが このカメラを手にし、
映像を学ぶことで 少しでも日本の映像文化が向上することを祈っています。
余談ですが なんやかんやシネ運用での快適さを求めていったらどんどんゴツくなって行ってしまい、 Pocket感から更に遠ざかってきたので
言わずもがな URSA Mini Proが欲しくなりました(後継機出るまで待つけど)
第二位:DaVinci Resolve MINI PANEL DaVinci Resolveの専用コンソールのMini Panelです。 ハイ、昨年は特別枠で選んだ「Micro Panel」の上位機種です。
私は今年の4月、Blackmagic Design主催の スーパーカラリスト Ben Conkey氏のセミナーに参加した後、
MINI PANELの必要さを実感し、導入しました。
講師のカラリスト:Ben Conkey氏と(大好きな 映像家:井上卓RAWさんも一緒でした★)
DaVinciを触り続けているとMINI PANELに行き着きます。絶対。 たまにMicro PANELで十分、という声も聞こえてきますが、嘘です。 もちろん、DaVinciを触ったばかりの頃かMicro Panelで十分です。 私もMicro Panelきっかけでグレーディングの楽しさを学びました。 しかし、DaVinci Rsolveの最大の魅力は「セカンダリグレーディング」です。 画をノーマライズした後に「どう演色するか」です。 DaVinciを学んだら、遅かれ早かれセカンダリの世界に足を踏み入れる事になります。 「セカンダリグレーディング」をする人だったらMINI PANEL無いなんてありえません。 Micro PANELでのキーボードとマウスへの依存度が70%だとしたら MINI PANELでの依存度は30%くらいです。 MINI PANELの上部がいかに大活躍してくれるか、という事です。 (参照)
ちなみにMINI PANELを買って一番よかった事は
「RGBミキサー」が超絶使いやすくなった事です。
これ、マウスだと本当に操作しづらかったのですが パネルだともう最高に使いやすいです。 こんな色被りもパネルのつまみで操作できるから 微調整に微調整を重ねる事ができ、
かなり修正できる上、自分だけの色を作りやすいです。 (ちなみにα7SⅡの8bit素材) <補正前 撮影時にどうにもならなかった すごい緑かぶり>
<RGBミキサーで色被りを補正>
もちろん、プライマリ、セカンダリ含め、キーボードとマウスでもできますが
笑っちゃうくらいに作業速度と手の疲れ、なにより「演色の楽しさ」が変わります。
ちなみに8bitのlog素材だって
DaVinciとMINI PANELがあれば、結構いいところまで持っていけるようになります。 勉強は必要ですよ★ <α7SⅡ S-log2 8bit 4:2:0 No Grading>
<α7SⅡ S-log2 8bit 4:2:0 After Grading>
<α7SⅡ S-log2 8bit 4:2:0 Node Tree>
ただ価格が35万くらいなので2の足を踏む方が多いのですが、 今からパネルを購入される方は絶対にMINI PANELの購入を勧めます。 分割払いでも良いから買った方がいいです。 (フリーランスなら還付金のタイミングとか)
僕はもうMINI PANEL無しじゃ無理です。本当に無理です。
常に持って歩きたいです。(でかくて重いけど)
余談ですが、最近お問い合わせを良く戴き、 DaVinci Resolveのパーソナルトレーニングを行なっております。 レベルとご希望に合わせてプログラムを組み、 マンツーマン、2名同時、少数での実践的なトレーニングになっています。
最近では大阪や広島など遠方からいらっしゃる方も。
興味ある方はお問い合わせフォームからご連絡ください★ ↓トレーニングの様子(MICRO PANELやMINI PANELも触れますよ♪)
第三位:Broken Anker ZERO 三位は「Broken Anker ZERO」です。
なんやこれ?って思う方多いんですが
60mm〜92mmの口径のスチルレンズに
シネマレンズようなフォーカスギヤを 素早く装着できる素敵アイテムです。
販売価格が日本で買うと約4万(B&Hとかで299ドル)くらいなので 少しお高いんですが、
カチカチっと回すだけで簡単に着脱できるので、 現場でレンズを付け替える際も時間がかからないので、ストレスがないです。 BMPCC4Kなどを使う「メイク」する撮影の現場では
フォローフォーカスも定着してきた今、ひとつ持っていると良いギアかもです。 リングの内側にある3つの小さな足についてるゴムがすぐ剥がれてしまうのが玉に傷ですが それを差し引いても便利なギアであることは間違いありません。
第四位:E PZ 18-110mm F4 OSS
Eマウントの Super35mmセンサー用のパワーズーム & 手ブレ補正付きのレンズです。
フルサイズ換算で約27-165mm F4通しのズームレンズ。 絞り、ズーム、フォーカスの三連リングになっているのでENGのような操作が可能。
さらにズーム方向が変更できたり、絞りのクリックのON/OFFができます。
パワーズーム付きなのでビデオカメラのようなズームイン・ズームアウトができるという代物 (私はほとんど使わないけど) 私は主にFS7に装着して使っています。
このレンズの最大の魅力は 今までのソニー独自のヌルッとした 気持ち悪いマニュアルズームの動きでなく
往年の名機Panasonic DVX100のような スコン!スコン!とした クイックな動きでのマニュアルズーム操作ができる事です。
発売から1年半くらい経っていますが2018年の頭に導入。 取材系やメイキング系の撮影でものすごく重宝します。 便利な上、画質がとても良いです。
↑ FS7 + E PZ 18-110mm F4 OSS (一部90mm macro F2.8を使用)にて撮影 大口径、というよりしっかりビデオレンズのため巨大という点と
約40万円という価格帯のため敬遠される人も多い気がしますが この利便性と画質はかなりのお買い得レンズだと思います。
スチル前提での「イチガン動画」で考えてしまうと 16-35mm / 24-70mm / 70-200mm あたりを揃えてしまいがちですが
もし、私のように動画しか撮らない前提でSuper 35mm ベースであれば、
このEPZ 18-110mm F4 OSSをメインに E 10-18mm F4と FE 90mm F2.8 Macro OSSあたりを揃え、
フルサイズ ベースであれば FE 12-24mm F4 / FE 24-105mm /FE 100-400mm F4.5-5.6あたりで 揃えておけば間違いなくどんな撮影にも対応できるでしょう。 第五位:α7Ⅲ
この選択は意外ですか?
はい。α7Ⅲは いいカメラです。
CanonやNikon、Panasonic + Leica + SIGMAなどの参戦が発表された
ミラーレス戦国時代が始まった2018年において
迷っている人がいたら、迷わず勧めるのはα7Ⅲでしょう。
ここ最近は何か写真撮影時のデータ消失問題があったみたいですが
動画軸というか私的な使用用途ではそんな問題は皆無。 今年の最後の撮影もαで終わったくらいです。
α9に近い感じの高速のAF、ボディ内手ブレ補正、デュアルSDカードスロット
ダイヤル一つで切り替えられるハイスピード撮影、画質が劣化しない超解像ズーム、
APS-Cモードとの切り替え、など
1発勝負が多い「テイク」の現場では間違いなく出動回数No1です。
最近は意識的に減らしていますが
Weddingの撮影やイベント系での撮影はα以外、現状考えられません。
テイクの撮影は取り返しのきかない1シチュエーションの中で
「奇跡の1カット」よりも「使える5カット」を撮れるかどうか、だと思っています。 言い方は雑ですが 「適正露出を合わせて、被写体に向ければ、綺麗に撮ってくれるフルフレームのカメラ」は 現状αだけです。テクノロジーを味方にして
いい意味で「楽」をしましょうよ、と思います。
●4k Wedding Film 【世界で一人のパートナー】
●4K Wedding Film【仲良くやっていってくださいウチみたいに】
●POLA × PAVILION_vol01_触れればテープが歌いだす
log撮影は相変わらず8bit 4:2:0(内部収録)なので、極力使わず
ビデオコーデックで撮る事にしています。無理をしなければ問題ありません。
もちろん時代の流れが速いですから
10bitや4K60pが撮れるに越したことはありませんが、スペックに振り回されることなく
「己が何をしたいか」で選ぶのが一番良いです。
要するに8bitでも戦い方次第です。 まぁ、α7sⅢの発売を実は一番首を長くして待っているのは私かもしれません。
(発売されたら2台買いますよ、私きっと)
とりあえず、ソニーが変な事しないで
きちんと期待に応えてくれればいいな、と思います。 ここでも余談ですがSmall RigのケージとトップハンドルにRECボタンが付いたグリップと Feel world のモニターを装着すると超絶使いやすくなります。
αを使い始めた当時「軽さは正義」と言ってたんですが撤回します。 結局レンズ群が巨大化・重量化したので 持ちやすさと使いやすさを追求してます(苦笑) 特別枠:FUJIFILM X-H1(買ってないけど)
買ってないのでアレですが、FUJIFILMのX-H1は
しがらみ抜きで「楽しかった」カメラなので特別枠で紹介したいです。 今年の紅白でいう北島三郎みたいな感じです。(サザンではない)
振りかえってみると2018年の初めはX-H1のテスト撮影を行なっていました。 レビュー記事はこちら
何も考えずにこれから「映像」をはじめたい方は
FUJIFILMが一番面白いと思います。X-H1やX-T3に搭載されている
フィルムエミュレーション「ETERNA」はノーグレーディングでも
これだけのルックを表現できます。
●MAYUMI SUZUKI -next project in progress -
ただ撮って、つなぐだけ。
とくにマウントのしがらみがないひと、メーカーのこだわりがなく、
手っ取り早く映像撮影をしたい人にはFUJIFILMをオススメします。 X-T3は10bit logもあるようなのでETERNAに飽きたら log撮影を行い、自分でグレーディングをする、という
ステップアップもできるわけです。
私的にはX-H1の後継機が出るのが楽しみです。
【まとめ 〜カメラに振り回されることなかれ〜】 BMPCC4Kの発表以来、「鈴木さんソニーやめちゃったんですか?」と聞かれることがありますが とんでもない。両方使っています。というか使い分けています。 なんでもかんでも1台で済まそうとする人が多い世の中ですが カメラごとの特性や利点を理解して、素直に複数を使い分ける、という事をすれば
不満もなく、己の映像表現を追求できると思います。 どんなメーカーのカメラも基本「いいカメラ」なんです。 複数台のカメラなんて予算的に所持出来ない、と意見もあると思いますが
買う金がないのなら、ローンを組む。 たとえ100万だって3年ローンで月3万円です。
月に3万を返す自信がないなら、映像で仕事なんて出来ないと思います。
もちろん、いきなり全部を揃える必要はありませんが、 きちんと自分に必要なものを見極め、
誰もが簡単に「写せる」時代、同じ機材をただ所持するだけでは仕事できないわけですから。
きちんとお金を使う事、学ぶ事、目的と覚悟を持って映像の世界に飛び込んでください。 (私だって大学3年で24回払いで60万ローン組んで機材買いましたからね。
映像で仕事する、っていうならそれくらいやってください、本当に)
ここ数年の映像機器の進化は凄まじく、3年先すらも予想が難しくなってきました。
間違いなく言える事は以前言っていた通り「表現」の世界へと突入してきました。 ただ、その中で全ての人が「表現」に向かうというよりも
テキスト形式だったものをビジュアル化した「動画」と
昔からあるスタンダードな「映像」というように
同じ「ムービー」の中にもにジャンル分けがされた2018年だったと思います。
こういうトレンドの中でVFXやモーショングラフィックスのニーズが高まり、
様々な企業がスタッフの募集を行ない始めました。 また制作人口も若い世代を中心にものすごく増えてきました。
それだけ「動画」がすべての広告活動においてマストになったわけです。
特にSNSに流れる最初の1〜3秒を掴めるかどうかの「流れてゆく動画」がものすごく増えました。 一種のトレンド状態ではあると言えるでしょう。
そのトレンドに飛び込むか、己の好きなものを追求していくか
2019年はこれから進む方向の分岐点だと思います。
ただ、その分岐の先にあるのは「淘汰」です
2019年「淘汰」の年。 正直、動画人口が増えすぎました。 その淘汰がついに始まります。
よく「簡単に動画をはじめる」とか
「誰でもできる動画」という文脈をここ数年見かけますが
私はその文脈が大嫌いです。
なぜなら「映像は難しいから」です。
もちろん、簡単に始める方法はいくらでもあります。
「簡単に始めた先」は「やめる」という選択肢と
「必死に勉強して続ける」という選択肢しかないからです。
テクノロジーの発展が本当に速い世の中です。
テクノロジーのおかげで勉強や経験から得る知識をすっ飛ばして、
手に入れる事ができる映像技術が増えましたが、数年経った今、どうでしょう? もうジンバル動画もレビュー動画もドローンもお腹いっぱいです。
「だれでも使える」「だれでもできる」事ではお金は稼げません。
仕事にした人はさらなる表現を求められ、どう使うか?を考えて勉強し、
機材もステップアップせざるを得ません。
何を使うか、ではなく 何を表現するか。 トレンドは「作った人」か「極めた人」しか勝者になれません。 「楽しい」で始めた先に残れるのは「好き」という事しかありません。 「楽しい」で始める人は「楽しい」趣味のままの方が良い時代に戻りました。 「やりたい」「やる」という意思の人で無いと、生き抜くのは難しいでしょう。
なんにせよ、ただの作業員になる事なかれ、というエールを送りながら
私はら自分が好きな「映像」にきちんと向き合っていきたいと思います。
今年一年お世話になった助手くんやスタッフの皆様、 執筆の機会をくださる玄光社/プロニュースのスタッフの皆様 様々な機材のレビューやセミナーをさせて頂いた 各メーカーのご担当者様、販売店の方々、 そしていつも支えてくれるワイフに心からの感謝を述べ
2018年を締めるとともに、
まずは振り落とされないようにアップデートをしていきながら、
2019年も走り続けようかと思います。
皆様、よいお年を!